<<目次創立30周年記念誌 2005 
 (社)長野建築士事務所協会 14支部の活動
軟弱地盤とともに
諏訪支部

  現在、諏訪支部は、総務、教育研究、業務技術、広報の4つの委員会によって構成されている。例年の主な活動しては、 講習会、住宅相談会、見学会、会員親睦球技大会等の開催と年1回の研修旅行である。とりわけ研修旅行はこの10年間続いており、 平成12年度には出雲大社へ、以降、川越、奈良、六本木ヒルズ、横浜周辺へとその時々に注目される場所を中心に様々なところを訪れて研修を重ね、 同時に会員同士の親睦を深めている。
平成14年度の研修旅行で立ち寄った岡崎城にて
     平成14年度の研修旅行で立ち寄った岡崎城にて

  さて、諏訪湖を取り囲む岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町、富士見町、原村は平成15年4月、東海地震防災対策強化地域の指定を受け公示された。 県内では当初より指定されている南信地方の16市町村に次ぐ地域となったが、もともと軟弱地盤で知られる諏訪地方は明治以来、地下水、 温泉の汲み上げや造成による盛土などにより地盤沈下が進んでおり、我々建築に携わるものにとっては大きな課題となっていた。 そういう状況の中、昭和62年に建築士会諏訪支部との共同事業の成果として「諏訪地方地盤図」が特定委員会発足から3年の歳月を経て発刊された。 貴重なデータのみならず学術的にも興味深い内容は、発刊から今日にいたるまで、事務所協会々員、さらに、各市町村関係者及び広く一般の方々にも、 興味をもって読まれる本として大いに活用されている。

    設立当時より、現在に至る諏訪支部の活動の歴史を顧みると、常に軟弱地盤がかかえる問題に関わってきたといえるであろう。 平成6年には「諏訪湖周辺の軟弱地盤地域における住宅基礎の設計 ・ 施工」講習会が行われた。近年では、平成14年10月、 諏訪市内の百貨店にて開催した「住宅設計フェア」において、昭和19年マグニチュード8.0の東南海地震体験者の会代表を講師に招いてセミナーを開き、 当時のお話しを伺った。「県内他地区にくらべても、はるかに大きな揺れを感じた。地面は大きくうねり、何時までも長く続いた。」という言葉からも、 軟弱地盤であるため、今後起こりうる地震による被害は甚大であると予想される。同時に行われた「木造住宅耐震無料相談会」コーナーには、多数の相談者が訪れるなど、 地元の関心は高く、地震対策は急務であり、諏訪支部にとっても大きな課題となっている。
  平成15年には、事務所協会飯伊支部に御協力いただき、木造耐震診断士に対する実務講習会を開催した。これを踏まえて、支部会員を中心とした調査員が、 平成15年度は410件、平成16年度には404件の木造住宅耐震診断(長野県補助事業)を行い、広く地震対策の必要性を訴えている。
  また、諏訪地方のまちづくり事業へも参画しており、「下諏訪まちづくり」の編纂や、建築士会諏訪支部との合同で諏訪地方に栄えたシルク産業の足跡となる下諏訪倉庫の実測調査を行うなど、 地域に対する地道な活動を続けながら現在にいたっている。
  なお、発刊から18年を経過した前記「諏訪地方地盤図」を更に充実したものにしようと、昨年度、地番調査特別委員会を設置して、CDデータ化した新しい「地盤図」を作成すべく、 現在、より多くのデータ収集に奮闘中である。


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